結城コンツェルン──の後ろ盾があると思うからこそのオファーもあるのかもしれない。


何かしら話題性があるから、声掛りがあるのかもしれない。


が、それでも俺は詩乃の実力だと信じたい。


だからこそ、俺などに構わずバリバリ活躍してほしい。


なのに……詩乃は頑なに俺のことを優先し、俺の説得など聞かない。


詩乃に頼っている部分を何とかしなくてはと、早めに帰宅できた時には自分で行うよう心掛けている。


俺は重い体を起こして、風呂を沸かし、キッチンへ向かう。


電子レンジの中に何もないことを確かめ、冷蔵庫の中身と相談し、風呂を沸かしている間に夕飯の準備をする。


もともと、1人暮らしをしていた俺だ。


家事には自信があるし、お手のものだ。


美味しい時短料理の裏ワザも使える。


手料理アプリなど利用しなくても間に合うくらいのレシピはある。