「自分の好きな仕事が自由にできて、実力もある。やりがいもあるはずだ。俺なんかの心配より仕事を大事にしろよ」


「俺なんかの……貴方のことをそんな風に思ったことはない。貴方の噂を色々な所で聞くの。モデルやタレント、雑誌記者やデザイナー、色々な人から」


会長代行は机の上に積み重ねられた書類に目を通しながら、詩乃様の話を聞いている。


「貴方の評判が良いほど……貴方が無理をしているんじゃないか。貴方が倒れやしないか、不安でたまらなくなるの」


「心配してくれているのはわかるけれど、俺はガキじゃない。詩乃が居なきゃ、進まない話だってあるだろ」


「でも……」


「遅刻したモデルだけが問題なのか? 詩乃自身にも問題があるんじゃないか? 真剣に仕事に取り組んでいたら、俺の心配をする暇はないはずだ」