「体のことは自分が1番よくわかっている。用心もしているし、極力無茶はしないよう気がけてはいる。主治医とも元とも密にしている」

「でも、お休みもなしに」

「大丈夫だ。君はスケジュール調整をよくやってくれている」

会長代行に言われて正直、嬉しくて会長代行の言葉を素直に受けとっておこうと思った。

会長代行の仕事は兎に角、過密だ。

毎日あがってくる書類も朝から山積み、その上、各部署からの要請で取引先との商談に同行、政財界とのパイプ繋ぎのための接待など。

さらには海外支社や海外の取引先とのオンライン会議……etc.

頭のなかにどれだけのデータが入っているのか、想像もつかない。

社医の元さんがわたしに会うたび様子を訊ねるのも、詩乃さんが過剰に心配するのわかる気がする。

当の会長代行は彼らの心配をよそに何でもござれ、サラリとこなしてしまうのだけれど。