それが少しずつなくなっていった。

トップが代わるだけで、こうも違うものかと思う。

マンネリ化した会社の空気を変えるのは、普通に考えれば容易ではないことだ。

なのに、会長代行はそれを半年で実現している。

何をどうやってと言われると、何をやったんだろうと思う。

でも、夢でも幻でもない。

パソコン検定で大御所作家2人をさらりと受験させ、合格させてしまったように。

あれよあれよという間に、熱血という風でもなく、スパルタでもなく、爽やかに変革してしまった。

俺についてこい的なワンマン精神でもなく、君の手腕にかかっている的な激励でもなく。


「結城に任せれば問題ない、結城に任せれば安心だ、そういう仕事をしてこそ結城コンツェルンだと、私は思っています」

常務秘書に託した常務への伝言、あれこそが会長代行の目指す結城スピリットなのだと、ひしひしと感じた。