【短編】空っぽのプール



相手にしなかったら、新屋はつまんなそうにして渋々ブラシを動かした。



ほら、


ブラシを持つゴツゴツした手とか


顎のラインに落ちる汗とか


襟足とか


黙ってれば、マシなのに。


ふざけては掃除して、ふざけては掃除してを繰り返す新屋と、ずっとひたすら掃除してた私。



全体的に綺麗になって、あとは汚れた水をホースで流すだけ。



新屋との時間がもう少しで無くなるって、ちょっと寂しがってた時、



「…働くんだ」



ホースから出る水の音だけがしてたのを、新屋の声が変えた。



「えっ?」


私はホースの口を指で挟むのをやめて聞き返すけど、新屋はブラシを持って突っ立ったまま。



「俺、働くの。だから高校にはいかねー」