【短編】空っぽのプール



「悪いけど、俺、大山だけには嘘ついたことねーよ」


「っ、」


アリも殺せないところとか

包丁が嫌いなところとか


意外と優しくて繊細なのを知っている。


それを知ってるから、すぐに信じそうになる。


「…大山にはちゃんと言いたかったから」



「意味わからん」



嘘なのか、思わせぶりなのか、バカなのか



「これはかっこ悪い話だから言わないつもりだったけど、大山が鬼の形相だから本当のこと言うわ」



これを聞いちゃったら…。


もう新屋に会えなくなる気がして。



私はブンブンと首を振った。



「大山って、大人っぽいのに時々そう言うとこあるよな」


「…っ」


バカにされた気がして、私はバッと顔を上げる。



「そう言うとこ、好きです」


っ?!


「は…い?」


予想外のセリフに、目が点になる。



「あ、ヤバ。ミスった。違う。あぁ、違くないけど、今言いたかったのはそれじゃなくて……」


1人で勝手に焦ってる新屋が、なんだか可愛い。