【短編】空っぽのプール



「だって、新屋は…」


「なに…」


頭からつま先まで濡れた新屋は、疲れた顔でこちらを見てた。


「嘘ばっかつくから」


今までもずっと嘘ばかりだった。



『先生きたで!』
『明日、数学自習て!』


クラスのみんなにかける言葉は基本デタラメで、息をするように嘘をつくから


『大山、いい匂いするな』
『大山、字綺麗だからノート見せてよ』


そんな言葉も彼にとっては意味なんてないことぐらい…。



「…俺、」


新屋は私に少し歩み寄ると、私の持ってたホースを取り上げて、足元に放り投げた。



新屋の毛先から雫がポタポタと落ちて、それがまた新屋には似合わない。