久しぶりに礼美とランチに出かけた。
前によく通ってたお店に行くと、店員さんが覚えててくれたのか「お久しぶりです」と声をかけてくれた。
あの頃みたいだねとどこかで聞いた覚えのあることを礼美が言うから、ヒロトくんと同じだとはずみで零してしまう。
彼女には、最初の日に電話をしたから、私たちの事は知ってるはずなんだけど・・

「アンタら・・本気でぺっとごっこしてんの?」

わあ、引いてる目。

「だ、だって、助言したの礼美じゃないの?」
「そーだけど、マジでやってると思わないじゃん!付き合ってんだよね?」
「・・・飼ってる」

肩をすくませながら答えると、礼美はわざと手を見せてから額に当て、はあーっと大きく息を吐いた。
姉御肌の彼女がこうするときは、長いお説教が始まる合図だ。

「もう一回状況教えてよ。ヒロトは、アンタの事好きなんでしょ?」
「多分・・」
「で、ペットで良いから一緒にいたいと。あんたもオッケーした」
「うん」
「そしたら毎日家に来てる。でもカレカノらしいことはないって、どーなの?ヤってないんだよね?」

そんな、とんでもない・・。
ぶんぶんと首を振ると礼美も怪訝な表情になっていく。

「まさかアンタまで自信がないなんて思ってないよね」

ズバッと指摘され、私は俯くしかできなかった。
その反応を見て礼美もますます濃いため息を吐いてしまう。
仰るとおり、今の私にはご主人様の域を踏み出し、ヒロトくんの首輪を外し「恋人になって」と迫る勇気がない。

彼が私を好いてくれてるのは十分に伝わる。
だけど、それが本当の愛なのかわからずにいるからだ。