2人で食べるにはちょっと多いくらいのメニューが出来た。
ケーキまで入るかなと心配になったけど、さすがのヒロトくん、ちゃんと冷凍できるものばかり作ってくれてる。
他愛ない話をしながらのんびり食べて、気がつくと21時を過ぎていた。
そろそろ後片付けしますと言うヒロトくんを制して、ソファで待っててもらう。
キッチンに行きアイスティーを作っていると「お茶なら俺くみますよ」とやってきた。
「だ、だめー!まだあっちで座っててっ」
「でも・・」
「・・まてっ!」
咄嗟に実家のペコに怒るような言い方をしてしまい、まずかったかなと口を押える。
だけどヒロトくんはニコニコと笑って「わんっ」と鳴き、戻って行った。
すごいなあぺット効果って。
やっぱり尻尾が良く似合う、とまた想像しながら、トレーにコップとケーキを乗せる。
運ぶ前にリビングに戻り、電気を暗くした。思いがけない演出にヒロトくんが素の声を上げる。
「えっ?なんですか?」
「ちょっとだけ、目瞑って待っててね」
急いでヒロトくんの前にトレーを置き、キャンドルに火をつける。
ケーキと言ったら、誕生日みたいなこんな演出しか思い浮かばなかった。
でもただ出すよりは、少し記念っぽくした方が良いかなと思った。
「もういいよ、ヒロトくん」
トン、と肩を叩くと、ヒロトくんが少しずつ目を開けていく。
飛び込んだ先にあるケーキの事、覚えてくれてるかな?

