昨日の宣言通り、ヒロトくんは私の定時に合わせて会社の近くまで迎えに来てくれた。
スーツの私と私服の彼では不釣り合いかと思ったけど、街かどに移る私たちはまるで姉弟みたい。

こう見えて実はカップル・・でもなく、ペットと飼い主。わんことご主人様。
こんな展開、私たちを知る皆の、誰が予想しただろう。

『ペットとしてならいけるって』
『先輩なら絶対飼ってくれるって言われて・・』

ある意味、皆わかってたかもなあ。


「昨日はパスタだったから今日は中華です!」
「すごいっ、本格的ー!」

着替えてメイクも落としてきた私の前に並ぶのは、お店で頼む中華コースとほぼ一緒。
ヒロトくん、イタリアンのお店でバイトしてるのに、何故こんなにいろんなレシピを覚えてるんだろう。
確実に私を越している。
もちろん味も最高に美味しくて、一口食べる度に感嘆の息が漏れてしまう。
それに合わせてヒロトくんも笑っている。

「ご主人様のその顔が一番好きですっ」
「ええ、恥ずかしいなあ・・」

いけない、まず照れる前に言わなくちゃ。

「ヒロトくん、しつこくてごめん。もう一度確認していいかな?その・・本当に、私の、ペットになるの?」

スープを飲みこんで聞くと、ヒロトくんは当たり前のように頷いた。