゚*.。.あの虹に願いを .。.*゚

゚*.。.*゚*.


「信じられないくらい、綺麗っ!!」

「……!」

海と空の境目から弧を描いて、七色に輝いている大きな虹。

こんなに素晴らしい虹を、私は今までに見たことがなかった。



《七曲りの海に出る虹を見ながら願い事を言うとね、どんな願いも叶うんだって》



脳裏に涼太兄ちゃんが蘇った。

長めの前髪、綺麗な眼、広い肩幅。



『夏希、学校行くぞ』

『テスト勉強?しゃーねーな、みてやるよ』

『夏希、暗くなる前に帰れよ?』

『夏希の事は俺が卒業するまで守ってやるからな』

『ごめん。夏希は俺にとってずっと……大切な妹なんだ』



涼太兄ちゃん……本当は私、心のどこかで分かっていたんだ。

でも、引っ越しが決まっていた私は多分、この恋に決着を付けたかったんだと思う。