゚*.。.あの虹に願いを .。.*゚

「知ってる知ってる!校内一、イイ男だからな、俺は」

「もうっ!真剣に聞いてよっ!」

「聞いてるっつーの。俺も夏希が好きだよ。うちの学校は男子が大半だからな、俺が卒業するまでちゃんと守ってやるからな」

涼太兄ちゃんは追い付いた私の頭に手を伸ばすと、フワリと撫でた。

「可愛い可愛い妹みたいなもんだからな、お前は」

……妹。

二歳年の離れた幼馴染……。

「さあ、帰るぞ」

「……違うよ」

立ち止まって硬い声を上げた私を、涼太兄ちゃんが訝しげに見下ろした。

「……夏希?」

「違うよ。幼馴染とかお兄ちゃんとか、そういう好きじゃないよ」

グッと握りしめた両手の爪が、痛いほど食い込む。

「夏希」

「真剣に、涼太兄ちゃんが好きなの」

ほんの数秒の沈黙がとても長く感じて、怖くて震えそうになる。

少しだけ視線をあげると、涼太兄ちゃんが真正面から私を見つめていた。