悠くんとは、花菜の彼氏だ。
近くの男子校に通っていて、野球部のエース。
一度だけ練習試合を見たけど、投げる姿がとてもカッコよかったのを覚えている。
「県大会で準優勝だったじゃん?夏の甲子園出場が夢だったから、どうやって慰めればいいか分からないうちに、ギグシャグしちゃって……何を言っても上手く伝わらなくてさ、『俺の気持ちはお前には分からないよ』って言われちゃったんだ」
花菜は手元に視線を落として続けた。
「軽々しく慰められたってヤだよね。でも、早く立ち直ってもらいたくて……好きだから」
私達に心配をかけないようにとでも思ったのか、花菜はフワリと笑ったけれど、その顔はどこかムリをしているようだった。
……自分の事じゃないのに、胸がズキッと痛くなる。
「花菜。悠くんはきっと、ちゃんと分かってるよ」
理沙の気遣うような言葉に、花菜は小さく頷いた。
「ありがとね。……ね、夏希は?夏希は何を願う?」
「私は……」
その時、フラッシュを浴びたように辺りが明るくなった後、信じられないくらい大きな雷鳴が轟いた。
「すっごい音!」
「しかも空、真っ暗!」
小さく叫んで身を縮めた私達の視線の先に、追い討ちをかけるかのように新しい稲妻が光った。
近くの男子校に通っていて、野球部のエース。
一度だけ練習試合を見たけど、投げる姿がとてもカッコよかったのを覚えている。
「県大会で準優勝だったじゃん?夏の甲子園出場が夢だったから、どうやって慰めればいいか分からないうちに、ギグシャグしちゃって……何を言っても上手く伝わらなくてさ、『俺の気持ちはお前には分からないよ』って言われちゃったんだ」
花菜は手元に視線を落として続けた。
「軽々しく慰められたってヤだよね。でも、早く立ち直ってもらいたくて……好きだから」
私達に心配をかけないようにとでも思ったのか、花菜はフワリと笑ったけれど、その顔はどこかムリをしているようだった。
……自分の事じゃないのに、胸がズキッと痛くなる。
「花菜。悠くんはきっと、ちゃんと分かってるよ」
理沙の気遣うような言葉に、花菜は小さく頷いた。
「ありがとね。……ね、夏希は?夏希は何を願う?」
「私は……」
その時、フラッシュを浴びたように辺りが明るくなった後、信じられないくらい大きな雷鳴が轟いた。
「すっごい音!」
「しかも空、真っ暗!」
小さく叫んで身を縮めた私達の視線の先に、追い討ちをかけるかのように新しい稲妻が光った。


