「俺は幽霊だし痛みもないし。なんなら浮くこともできるわけだから翠ちゃんとは違うでしょ?」
そんなことは改めて言われなくても分かってるけど。
私はベッドの下からスニーカーを取り出して、それを窓の外へと投げる。下は芝生だから音はしない。ただ白い紐がヘビのようにほどけてるだけ。
「……えっと、だから本当になにをする気ですか?」
念のためにスニーカーを部屋に置いておいて良かった。……さてと。
「ま、待って待って!危ない、ケガする!マジで本気で!」
さっきまでかなりブルーな気分だったのに緑斗の慌てた姿がちょっと可笑しい。
「平気だよ。初めてじゃないしさ」
そう言うと緑斗の反応を待たずに飛び降りた。
2階といってもそんなに高さがある家の造りじゃないし、心臓がヒュッとなる前に柔らかい芝生に足が着いた。



