はじめて知った世界の色は



大学生活のこと。友達のこと。将来のこと。お姉ちゃんの口から出る言葉はどれも充実していてキラキラしてる。

「さすがは茜だなあ」なんて、お父さんはほろ酔い気分でお姉ちゃんを褒めて。

「そういえばこの前、茜が素敵な彼氏を連れてくる夢を見たのよ。正夢だったりしてね?」とお母さんは理想をお姉ちゃんに預けて。


ああ、どうしてこんなに声が丸聞こえなのかな。

その場にいないのにその場にいるような感覚がして、自分の部屋でひとり孤独を感じている。


モヤモヤ、ズキズキ、チクチク。

ぎゅっと身体を押さえても痛みが消えない。私は堪らずに座っていた腰を上げて窓の前に立つ。

そして右足をかけたところで緑斗が引き止めた。


「な、なにする気……?」

「部屋にいたくないから、ちょっとさんぽ」

「いやいや、ここ2階だよ?外に出るなら玄関からでしょ?」

「下に行きたくない。それに自分だっていつも窓から出入りしてるじゃん」

私がひとりになりたい時や眠りに落ちる間、緑斗は普通にこの窓から飛び降りて夜のさんぽに出掛けている。