「それならあとで取りにおいでよ。翠のぶんも残しておくから」
そう言ってお姉ちゃんの足音が離れていく。
なんでそんなに完璧なの?登校拒否で引きこもりなんてダサいよってそのぐらい言えばいいじゃん。
甘えるなって、みんなが迷惑してるのが分からないの?って、そのぐらい叱ってくれたら私も言い返せるのにさ。
そんな他力本願な自分に嫌気がさすし、もうため息しか出ない。
「翠ちゃん、本当はお腹すいてるんでしょ?」
緑斗の問いかけに合わせてお腹の虫が返事をする。
「すいてるって思うからお腹はすくんだよ。そう思わなければ全然大丈夫だし」
いつも晩ごはんは両親が寝静まったあとにこっそりリビングに下りて食べている。
でも今日はお姉ちゃんもいるしリビングに行くのは厳しいと思う。
「翠ちゃんが今以上に痩せちゃったら俺はイヤだなあ」
「痩せてないよ。身長と体重比例したらけっこう重いほうだし」
「そうなの?翠ちゃんは小柄で小動物みたいだよね。なんかハムスターみたい」
「は?いきなりなんの話?」
緑斗がまた上手く空気を変えてくれようとしている。それなのに外の音に負けないくらいリビングから聞こえてくる音は大きくて。
三人の笑い声ばかりが耳に残って仕方がない。



