「翠ちゃん、大丈夫?」
緑斗が心配そうに私の顔を覗きこんでいた。
「……うん。平気」
窓は全開に開いてるし車の音がうるさいから、
きっと声を抑えれば下には響かない。
リビングにいると思うと気持ちがソワソワしてしまうけど、なんとか深呼吸して平常心を元に戻した。
「さっきの人って……」
きっとこの言葉を使うのは久しぶりかもしれない。
私と両親の間に壁がある原因。そして私と血の繋がった家族のひとり。
「……私のお姉ちゃん」
お姉ちゃんの名前は茅野茜。
5歳上だから今は22歳になってると思う。
お姉ちゃんは大学進学と共に家を出て今はひとり暮らしをしている。昔はすごく仲良しで、お姉ちゃんの部屋で一緒に寝ることもあった。
それがなくなった境界線は覚えてないけど、お姉ちゃんに対して〝劣等感〟のようなものが芽生えてからは同じ屋根の下にいても、あまり会話をしなくなった。



