はじめて知った世界の色は



緑斗とそんな下らない会話をしていると、タッタッと階段を上がってくる音がした。

私たちはいつもその音を瞬時に察知してお互いの口を閉じる。前に怪しまれたことがあったし、まさか目に見えない幽霊が私の部屋にいるなんて想像もしてないだろう。



「あれ、でも翠ちゃんのお母さんもお父さんも土曜日は仕事だよね?」

何故か緑斗が小声で話す。

たしかに今日の朝もいつもと同じ時間に家を出ていく音を確認した。


「まさか泥棒なんじゃない?夏は空き巣が多いって言うし……」

縁起でもないことを言わないでほしい。仮に泥棒だったら逃げづらい2階には上がってこないでしょ。


それにこの足音……。

まさかと思いながらも、音は私の部屋の前で止まった。


「翠……?いるの?」

その声にドクンと心臓が跳ね上がる。