はじめて知った世界の色は



あの日の言葉を私は忘れない。


――『私、学校でイヤなことがあって、もう明日から行きたくない』

そう打ち明けたあの夜のこと。

心も身体も限界だった。明日が来ると思うと恐怖で震えが止まらなくて、ご飯も喉が通らなかった。


でも決して〝いじめられてる〟とは言わなかった。

なんでと聞かれると難しいけど、私のちっぽけなプライドがそうさせた。

言わなくても分かってほしかった。

私の心の変化に気づいてくれてると、過信していたのかもしれない。


『なに言ってるの?2年生になってまだ2か月しか経ってないでしょ?もしかして勉強に付いていけてないの?』

『違う。私は……っ』

『翠。少しは我慢も必要だよ。この前の小テストは散々だったって母さんから聞いたよ』

勉強のことじゃない。

私は気づいてほしいのは別のこと。それなのに……。



『〝あの子〟はそんなこと言わなかった。勉強熱心で頑張り屋で今だって私たちに親孝行してくれてる』

『………』

『少しは見習いなさい。翠は努力が足りなすぎるよ』


その両親が言った言葉で、私は完全に心の扉を閉ざした。

比べられること、比較されること、それはまるで私がダメだって言われてるみたいで本当の気持ちなんて誰にも言えないと思った。