はじめて知った世界の色は



「うーん。私の話かあ……」

改めて聞かれると考えてしまう。

頭に浮かぶのはネガティブなことばかりだけど、その中でも楽しかった思い出を探してみた。


「……水族館。私が好きな理由は昔家族とよく来てたからなんだ」

久しぶりに口にした〝家族〟という言葉に心臓が臆病になる。


「子どもの頃住んでた家の近くに小さな水族館があってね。ここに比べれば珍しい魚なんていなかったけど、水槽を眺めているだけでただ楽しかったな」

あの時に感じた純粋な気持ち。

それが今私の中にあるかと聞かれたらないかもしれない。



「お父さんは私の写真ばっかり撮ってて、お母さんは私が見やすいように抱っこしてくれて。水族館の帰りにはいつもファミレスでハンバーグを食べるの」

ソースが跳ねないように紙エプロンをお父さんがきつく結んで、お母さんが食べやすい大きさにハンバーグを切ってくれる。

そして私は帰りに貰えるオモチャはなにがいいか考えながら、デミグラスソースたっぷりのハンバーグを頬張る。

本当に幸せな時間だった。


「でも今は全然お父さんとお母さんは私を見てくれない。関心がないんだよ。私は出来が悪い娘だから」