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「ねえ、それは日焼け対策なの?」
緑斗はさっきから同じ言葉を繰り返している。
外の気温は快適だし雲が多いから直射日光も強くはない。でも私の格好は黒いパーカーを深く被って口には大きめのマスク。
正直こんな人が前から歩いてきたら大袈裟に避けてしまうレベルだ。
「うるさいな。顔を隠してるんだよ」
「どうして?銀行強盗でもしに行くの?」
そんなわけないでしょ、と突っ込むのも躊躇うほど私は挙動不審に歩く。
だってコンビニや家の近くをさんぽするだけならまだいいけど今回は長時間外にいなきゃいけないし、人に会う確率が高いから。
「逆に目立つだけだと思うけどな」
緑斗はなんにも分かってない。
私にとって知り合いに会うことがどれほど怖いことなのかを。
私の腕の中でエメラルドが可愛い声で鳴いていたけど、それすら耳に届かないほど私は足早に歩き進めた。



