「ニャアア」
「え……」
思わず視線が止まってしまった。
窓のフチにまるでぬいぐるみのように立っている子猫。自分の毛を可愛らしく舐めていて再び「ニャア」と鳴く。
私は後ろで慌てている緑斗に冷ややかな目線を送った。
「違うよ!俺が連れてきたんじゃなくてついてきたんだよ!しかも窓を器用に開けて翠ちゃんの部屋に入ったのもこの猫だし」
まあ、私が窓のカギを閉め忘れたことは置いておいて。確かに緑斗は窓を開けることはできないし、そこは疑ってないんだけど……。
「なんで緑斗についてきたの?」
「知らないよ。翠ちゃんが眠りにつくまで外にいた間になんかなつかれちゃってさ」
「猫に緑斗の姿は見えるんだ」
「動物に幽霊は関係ないらしいよ」
私と緑斗がそんな会話をしてる間に猫はぴょんっと私の部屋の床に着地してイタズラする気満々って顔。
「……はあ。どうするの?」
私のお気に入りのクッションでゴロゴロしてるし、ベッドの下を行ったり来たり。
今にも壁で爪磨ぎをしそうなぐらい元気だし本当にどうしようか。
「す、翠ちゃん猫派だって言ってたじゃん」
「バカ。飼えるわけないでしょ」
「だよね。ごめんなさい」
緑斗を責めたつもりはないけど、このまま部屋に居させることもできないし、それに……。
「この猫、たぶん飼い猫だよ」
首輪はないけど、毛並みが綺麗だし全然汚れてないから野良猫じゃないと思う。



