「留まっちゃうぐらい未練があって、姉っていう言葉を聞いただけで記憶が戻るほど気持ちが残ってて。文化祭の時みちるさんのことを恋しそうな瞳で見つめるくらい好きなくせに」
だからずっとその気持ちを隠してる緑斗にイライラしてた。
「……でも俺の気持ちなんて意味ないよ。もう伝えることもできないし姉さんは結婚するし」
「………」
「それに俺のことなんてもう忘れてるよ。本当の姉弟じゃなかったんだし夢だった教師になって、好きな人と結婚して、そういう幸せな暮らしが姉さんには……」
「……緑斗のバカ!!」
再び私の声が響いて、私は意気地無しの緑斗に近づいた。
「私は緑斗の気持ちを聞いてるの!伝えなくていいのか、このまま幽霊の姿でずっとふわふわしてる自分でいいのかって私が聞いてるんだよ!」
ハアハアと息継ぎを忘れて息があがる。
少し沈黙になって川のせせらぎだけが聞こえてくる。そんな中で拾いとるのが大変なほど小さな声で。
「……いいわけ……ないよ」
緑斗がそう答えた。



