ムリしている緑斗なんて見たくない。
本当の気持ちを隠してる緑斗はもう見たくない。
「はは、いいもなにも俺にはもうどうすることもできないし、姉さんは春に結婚して幸せに暮らすだけだよ」
「私が言ってるのはそういうことじゃなくてさ……」
「いいんだよ。俺のことはもう」
食いぎみに緑斗は言い返して、そのまま川に背中を向けた。緑斗と重なっている水面は憎らしいほど輝いていて、緑斗がいつもの顔で笑う。
「それに俺は翠ちゃんとこうして一緒にいられれば嬉しいから」
ドクンとしたのは喜びじゃない。
私の知ってる緑斗はもっと素直に笑うヤツだった。こんなに笑顔が下手くそな緑斗なんて私は知らない。
「……ないでよ」
「え?」
「ふざけないでよ……!!」
私の声が河川敷に響いた。



