はじめて知った世界の色は



それからの緑斗は一切過去の話はしなくなった。そして暗い顔も真面目な顔もしなくなった。

私がアイスを食べてると「いいなあ」とうなだれて、授業中に私が居眠りをしてると必ず起こしにくる。

月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、金曜日、土曜日、日曜日。顔を見ない日も一緒にいない時間もなくて、「このまま翠ちゃんの守護霊になっちゃおうかな」と緑斗はふざける。


どこにいても、なにをしてても緑斗が傍にいて笑わせてくれたり、楽しませてくれた。

全然飽きないし、たまにはしゃぎすぎて叱ることもあるけど、それも私たちの形。


私があくびをすると緑斗もする。
私がくしゃみをすると緑斗もする。

私がため息をつくと幸せが逃げるよって言う。


充実した毎日。悩みも不安もない満たされた生活。


それなのに、私はどうしてこんなに苦しいんだろう。


きみが悲しい顔をしなくなった。切ない顔もしなくなった。それは嬉しいことなのにすごく今、緑斗のことが〝分からない〟


「ねえ、緑斗。本当にこのままでいいの?」

茜色に染まる河川敷。コンビニに行った帰りに久しぶりに緑斗が行きたいと言うから立ち寄った。


「ん?いいってなにが?」


「みちるさんのこと。本当にこのままでいいの?」