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そして夜が明けて朝がきて、いつものどおりの日常がはじまった。
スマホのアラームが設定した時間ぴったりに鳴って私は目が覚める。いつも寂しげに広がる天井を見つめるだけだったのに、いつの間にか目覚めてから一番に目に入るものが変わった。
「おはよう、翠ちゃん」
緑斗は昨日のことなんて忘れてしまったかのようにニコリと安心する言葉をくれる。
変わらない。変わらないけれど緑斗の存在が遠くに感じるのは気のせいじゃない。
学校に着くと文化祭の余韻をそのままに午前中は全て後片づけの作業をすることになった。
あんなに派手だった正門のアーチも外されて、バルーンアートの動物たちは一夜にして元気がなくなった。
黒板に書かれた呼び込みの文字も綺麗に消されて、私たちが作った看板も撤去されてしまった。
「なんか美術の先生が出来が良かった作品は来年の参考にするって言ってたけど、この看板はどうなるんだろうね」
周りに透明のビニール袋を被せて、看板は美術部の倉庫に保管されることになった。
「由実のイラストが上手いから来年使い回しされてたりしてね」
「えー。それはちょっと複雑かも」
そんな雑談をしながら、緑斗は片づけの邪魔になるからとまたどこかに行ってしまっている。



