「今考えてもいつから好きだったのか分からないんだ。初めて会った時かもしれないし、弟ができて嬉しいと頭を撫でられた時かもしれないし、みちるって呼んだら怒られたときかもしれないし、美人の姉ちゃんがいて羨ましいって友達に言われたときかもしれないし、誕生日プレゼントにピアスを貰ったときかもしれない」
「………」
「キッカケはいくつもあったんだ。中学の思春期のときも姉さん以外可愛いと思えなかった」
「………」
「女の子に一緒に帰ろうって誘われて断れずに帰ったときも姉さんが男と歩いてて思わず自転車を放り投げたくなったときにはもう恋だったと思うんだ」
きっと語り尽くせないほどの思い出が緑斗と先生にはあって、家族だから距離は誰よりも近かったと思う。
あんな美人な人が急にお姉さんになって、好きになるなと言うほうがおかしい。
それなのに、先生のことを話す緑斗はやっぱり私の知っている緑斗じゃなくて。
甘酸っぱさや理性も抱えた普通の男の子だったから、ああ、きみは私の知らない〝藤沢緑斗〟なんだなって思ったら、やっぱり相づちなんて出来なかった。



