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「翠?氷なんて運んでどうするの?」
そして週末。リビングと部屋を何回も往復している私を見てお母さんが不審に思ったみたいだ。
「ちょ、ちょっと……ね」
なんとか誤魔化して私は最後の氷を運び終わった。
部屋には洗面器に入れられた氷やビニール袋に入った氷。冷蔵庫に製氷機能がついていて自動で氷が作れるとはいえ、ちょっと運びすぎたかもしれない。
私はそれを布団の周りに並べて、寝ている人物に声をかける。
「……大丈夫?」
そこには真っ赤な顔をして寝ている緑斗。
「う、うん。なんとか」
実は昨晩から緑斗の様子がおかしくて、ずっとぼんやりしてるし、くしゃみも連発。まさかと思ったら案の定今日になって緑斗は熱を出した。
どう見てもこれは風邪だ。
「ちょっとは涼しくなってる?」
「うーん。分かんないけど気持ちはすごい嬉しい。ありがとう」
緑斗の身体を冷やすことはできないから周りに氷を置いて、私はその冷気をうちわで扇ぐ。
体温計も使えないから定かじゃないけど、たぶん38度ぐらいはあるって顔をしている。



