だって緑斗は幽霊で、他の人には認識されない存在で。
だから私も緑斗のことが見えなくなったって不思議じゃない。
もしかしたら今だって私が見えなくなっただけで、探してる間もこの瞬間だって隣にいるかもしれない。
いた、としても私は分からない。
緑斗がそんなに儚いものだったこと。そして私たちの関係なんて音もなく、なくなってしまうものなんだって思ったらどうしようもなく胸が痛くなった。
「……緑斗、緑斗……」
私はただ膝を抱えることしかできない。
――すると、フーと優しい風が吹いて私の前髪が揺れた。
「どうしたの?翠ちゃん」
顔をあげると、そこにいたのは不安そうな瞳をする緑斗の姿。
「もしかしてまた誰かにイヤなことでも言われたの?それともお腹でも痛い?」
ああ、緑斗だ。間違いなく。
私の押し潰されそうだった気持ちが消えていく。
「……どこ、行ってたの……?」
自分でもビックリするほど弱い声だった。
「校舎裏にあるウサギ小屋。あいつら俺のこと見えるから寄ってきてくれるんだよね」
私の気持ちなんて知らずに緑斗からはのほほんとした返事。
……そっか。ウサギ小屋か。
そこまでは見にいかなかったな。
なんだか安心してポロポロと涙が出てきた。
「ええ!?翠ちゃん、ど、どうしたの!?」
慌てた緑斗が私の周りをうろちょろしてたけど、悔しいから理由なんて絶対に教えてやらない。
そして私は同時に気づいた。
緑斗がこんなにも私の中で大きな存在だったということ。
もしかしたら現実として緑斗がいなくなることは遠い話じゃないのかもしれない。
だけどその〝いつか〟は考えたくない。
まだ、考えられないよ。



