思わず泣きそうになる。
 ………あれだけ鶴橋くんと付き合える事になって嬉しかったのに、道を踏み外してしまった気がした。


 でもこんな事、いくらなんでも言えるハズないので、不安と一緒にため息を深く吐く。



 私の頭をポンポンと撫で、


「俺さ、朱里には言ってなかったけどちゃんと好きな子いるんだ。ずっとずっと昔から、ずっと想ってる子」


 ゆっくりと胸の内を話始める祐樹。



「えっ………」


 ずっと昔から、ずっと想ってる子。
 そんな昔から好きな人、いたんだ…………



 いざ恋愛話を聞かされると、複雑でしょうがなかった。



 ………それより相談してくれなかった事がショックで、言葉が出てこない。



「でも俺諦める気ないから。1ミリでも可能性があるなら、どんな手を使ってでも奪うから。だって、俺の方が断然その子を好きだから。だから、奪うよ??」



 ”奪うよ?"って私に言われても。
 でも、こんな真面目に話す祐樹は見た事がない。




 だから、


「そんなに想われて絶対その子は嬉しいと思う。祐樹は人を大事にできる人だもん!! 奪っちゃえ! ガンバレ祐樹!!」


 祐樹には頑張ってほしい。頑張って好きな子と付き合ってほしい。