………きっと私の事を一番に考えてしまう祐樹は、私が何を言っても納得しないだろうなと思った。
”どうしよう………”
良太くんに視線を向け、ついつい助けを求めてしまう。
良太くんも私の気持ちを察してくれて、
「いや、朱里さんの方がいいよ和谷くん。朱里さんが殴られる所を証拠に残せば、それが今後の武器になる。鶴田先輩がもし、今後誰かと付き合ったとしても、そういう事をできないようにする事ができる」
祐樹に言い聞かせるように口を開いた。
それでも何かを言いたそうな祐樹に隙を与えない良太くん。
「ただ、和谷くんが殴られたんじゃ、喧嘩って言ってしまえばそれまでだし。それだけじゃ鶴田先輩が『女の人を殴るヤツ』って皆に分からせる事ができなくなる。鶴橋先輩、表面上はめちゃくちゃ良い人面するじゃん。そういう人を周りに信じ込ませるのは、まずムリだよ」
今後を考えてる良太くんの言葉は、とてつもなく説得力があった。



