”殴られる”自分が置かれる立場を分かっていながら、イヤな顔せずに、私に笑いかけてくる祐樹。
「朱里をアイツから引き離す為だったら、そのくらい全然なんともないから。俺も頑張るから、朱里もアイツと別れる事を選んでほしい」
『最低な事言ってるって分かってるけど、それでもアイツと別れる事を頑張って選んでほしい』と、私の事を心配してくれる祐樹にどうしても、涙が止まらない。
やっぱり祐樹は私の言えない事を分かってくれていた。
『別れられない事』を分かってくれていた。
私、別れたい………
別れたいよ、祐樹………
泣きながら強く思う。強く抱き締めてくれている祐樹を、私も強く抱きしめ返す。
もしも別れる事ができない運命だとしたら、いっその事このまま時が止まってしまえばいいのに………



