田中くんは祐樹のノートを友達から奪い、後ろにポイッと投げ捨てる。



 ………こんなの喧嘩じゃない。イジメだよ。



 田中くんに気づかれないように睨み、祐樹のノートを取りに席を立つ。



 すると、『佐野さん、アイツに優しくしなくて良いって。また調子のってストーカーが悪化するって』田中くんは笑いながら、祐樹に汚いモノを見るかのような視線を送る。


 ……なっ!!!
 いくらなんでも今の言葉は絶対傷つく!!


 祐樹が聞いていないか気になり、すぐ祐樹を見てみると、イヤホンをした状態で机に顔を伏せていた。


 イヤホンしていた事に安心しつつ、……さっきの、聞こえてなかったかな………とまた、不安になる。



 ………返さなきゃ。ノートを拾って祐樹の席まで向かう。