◆◇朱里side◆◇



 祐樹と話さなくなって、どれくらいの時が過ぎただろう。



 ”鶴橋くんのために。鶴橋くんを一番に"
 それだけを思って過ごしてきた。


 だけど、鶴橋くんの束縛は酷くなる一方で、


 ”祐樹だけじゃなく、クラスの男子とも話さないで"

 ”スカート短すぎだから、膝下まで下して"

 ”LINEや電話したらすぐ出て"

 ”友達と遊ぶなら絶対写メ送って"



 そして男とLINEや通話してないか、朝一に調べ上げられる事が日課になっていた。だから祐樹とも全然LINEをしていなかった。



 ……自分の感情なんて、なくなっていく。


 それでも、私は鶴橋くんを一番に考えると誓った以上、鶴橋くんの過去を知ってしまった以上、突き放すなんてできなかった。



 ……祐樹がどんな気持ちでいたかなんて、考えてる余裕がなかった。