カゴノトリ

「おっちゃん、病み上がりのくせに……もう先に帰っててよ。私が代わりに働くから、ね!」

あの視察から数日後。病み上がりのくせに仕事場に来た頭領を追い返し、せっせと電動ドリルで木材を加工する。

……その時ふと視線を感じた。

きょろきょろと辺りを見回すも……それらしき人物は何処にも居ない。

まぁいいか、と判断し、作業を進め………やがて休憩時間になった。


私は休憩時間はいつも、近所のやっすい定食屋に行く。そこで唐揚げ定食を頼むのが日課だ。

くしゃくしゃになった千円札を握りしめ、ガラッと定食屋の引き戸を開く。

「……え゛っ」

思わずそんな声が出た。




「やぁ、待っていたよ」


彼と店員以外誰もいない店内。

「……え、えっと…お邪魔、でしたよね」

「とんでもない!君を待っていたのだよ」

カウンター席でニコニコ笑っているこの男性は、確か。


「……えっと、この前の」

「おや?覚えていてくれたのかい。まあ座りたまえ」

「あー……はい」

いまいち状況が飲み込めないが、とりあえず彼の隣に座る。

その時、私と彼の前に料理が運ばれてきた。

「おまち~」

「君が好きなものはこれだろう?」

ごくり、と生唾を飲み込んだ。だってそこにあったのは唐揚げ定食だったから!

「食べたいかい?」

こくこくと頷く。


「それじゃあ君の名前と年を教えてくれたまえ」

「草野ゆき、18歳です」

即答した。彼はクスクスと笑っている。