児童保護施設から出たのは今から3ヵ月前。18歳になったから、追い出されたんだ。
世間では高校3年生であるのが正しいけれど、私にそんな余裕は無い。少しでも働いて、貧乏人らしく泥を被りながら生きなきゃいけないよね!

私の名前は草野ゆき。いわゆるできちゃった婚で生まれた子らしく、赤ちゃんだった頃に私の存在を邪魔に思った両親から危うく殺されかけた。いやぁ…地中に生き埋めにされかけたんだよね…私が大声で泣いたから近所の人が気づいて助かったものの……勿論その後両親は牢屋にぶち込まれたらしいよ!

で、それから児童保護施設に入った。それから3ヶ月前まで、私はそこから外に出たことがなかった。勉強も、生きる為の術も全てそこで学んだ。
……でもまぁそこでは虐められて虐められてねえ……小さい子や男子達が守ってくれたけど、やっぱアレだ。女って怖いですねー。

しかしあの施設も薄情だ。スタッフによる虐待とかはなかったものの、とにかく子供たちに関して無関心を貫いていた。
そして、私のように18歳の誕生日を迎えた子供は仕事がなかろうが住む家がなかろうが容赦なく追い出しにかかる。

でも私の場合は幸運だった。空腹で行き倒れていた私を、工事現場の頭領が拾ってくれたのだ。彼は気前のいい男性で、可愛らしい奥さんもいる。私を不憫に思った頭領は、自身の工事現場のスタッフに私を迎え入れてくれた。流石に安い賃金しか出ないが、頭領夫婦の家に居候させてもらっているし、住む場所にも食料にも困っていない……私は、本当に幸運だ。感謝しなければならない。