キミと初恋。

雨あしは徐々に弱くなってきて、ひとまず花壇の花の様子を間近で見に行った。

せっかく綺麗に咲いていたペチュニアやサフィニアは踏みつけられて見るも無惨に横たわっている。

オレンジ、ピンク、レッド。私が好きで三色の色違いで植えたガーベラは引き抜かれ、花びらは散り散りに散っている。

もうすぐ咲くはずだったコスモスはつぼみを大きく膨らませたまま、引き抜かれ踏みつけられていた。


「かすみ、濡れるよ」


そう言っても私がなかなか動こうとしないから、りょうちんは傘を取りに行くと言って行ってしまった。

濡れる事なんて、今の私にはどうでもいい。

ボーゼンと荒れ果てた花壇を見下ろして、ただただ悲しくなった。


「花だってさ、生きてるんだけどなぁ」


私達と同じで水も必要だし空気だって必要だし、私達と同じ様に成長していく生き物なのに。

花をこんな風に痛めつけるのなら、私に直接言えばいいのに。不満があるならこんな形なんかじゃなく、直接私に挑みかかればいいのに。


どうして人は、いつだって弱いものの方を、攻撃しようとするのだろう。


ものが言えない逃げる事も出来ないような弱い存在を、どうして攻撃するのだろう。

それで得れるものはなんだったのだろう。相手はこれで満足できたのだろうか。

私が傷ついて悲しむ事が満足なのならば、この気持ちを持つ事自体、相手の思うつぼなんだと思う。


分かってる。分かってるけど、やっぱり……。


「なんか、悲しくなってきちゃったなぁ……」