キミと初恋。

「私は先輩の友達役、失格ですね」

「まぁ、ああいう輩が来ることは想定内だけどな」


まただ。先輩は私の頭をくしゃりと撫でた。


「それ、やめてください」

「なんだよ、かすみはいちいち俺のやる事につっかかってくるよな」


だってそれされると、うまく感情抑えるのが難しくなる。


「子供扱いされてるみたいで不満です」


なんて言いながら、口を膨らませてそっぽ向いてやった。

そしたら先輩もははっと笑って手を引いてくれた。


「悪かったよ」


先輩の大きな手が私の頭から離れていくとホッとするのと同時に、寂しくも感じる。

これはいけない兆候だ、そう思って私は話題を変えた。


「雨止まないですね」

「お前、傘ないもんな」

「言いながら笑わないで下さいよ」


先輩が私から顔をそらして肩を震わせてる。

バカだなーとでも思って笑ってるのだろうな。そんな先輩は無視して、私は空を見上げた。

どっかで買って帰らなきゃ。でもコンビニは駅近くまでないから結局濡れる事になるんだけど。


「駅までなら帰り送ってやろうか? あっ、帰りに予定なかったらの話だけど」


それって相合傘で、ですかね……?

私この後教室戻るのもなかなかの勇気いるんですけど、それはさすがに明日誰かに殺されるんじゃないかと……。