キミと初恋。



「おっ、ちゃんと来たな」


ガヤガヤと騒がしい人混みをくぐり抜けて、私は先輩の座る隣の席に着いた。


「先輩、これなんですか?」

「何って、それはかすみの昼メシ。買っといた」


ニヤリと笑う先輩は、私の反応を楽しそうに覗き込んでいる。


「いや、なんで勝手に決めるんですか。私今日はカレーライスの気分だったんですよ」


先輩がすでに用意してくれてるのは日替わりランチ。そう、先輩と同じメニューだった。

今日の日替わりは焼き魚みたい。


「俺が買うんだからな。俺がメニュー選ぶのは当然だろ」


はい出ました、ジャイアンですか。


「いやいや、おかしくないですか? だってこれはいわば報酬。選ぶ権利は私にありますから」

「じゃあ俺より遅く来たのが悪い。第一俺が買ってここまで運んでおいたっていうのに、お礼の一言もなしか?」


ジャイアンの独裁政権だ。


「はいはい、ありがとうございますぅ〜」

「ははっ、言い方が可愛くねぇなー」


そう言いながら満足そうに焼き魚に箸をついた。