キミと初恋。

「ダメですか? 友達のよしみでどうか……」

「ばかやろ。そんなやつは友達じゃねーよ。ただたかってるだけじゃねーか」


ちぇっ、なんて何気無く先輩から視線をそらしたら……。


「あっ、雨だ」


窓の外にはシトシトと雨が降りてきてた。

とうとう降り出してしまったか。私傘持ってないというのに。


「傘持って来るの忘れたのに……」

「こんな天気悪いのに持って来なかったのかよ」


だって今日は手ぶらで登校だったんですよ。いつもならカバンに入れるところを手ぶらだったんで忘れたんです。

財布はポケットに入れっぱなしだったから良かったけど、傘はそうはいかないから。


「そういう先輩は持って来てるんですか? 意外なんですけど」

「一言多いっつーの。俺はいつも学校に置いてんだよ」


なんだ。ですよねー。


「それ、持ってきたとは言いませんよね?」

「お前、意外とうるさいやつだよな」


あっ、つっかかり過ぎちゃったかな……? なんて思ったのもつかの間、先輩はははっと綺麗に笑った。

文字通り、綺麗な笑顔だった。

鋭い目尻をふにゃりとしならせて、筋張った鼻を長い指先で掻きながら。