まぁ、そりゃそうか。りょうちんは意外と堅実的なところがあるから、さすがにそれはないか。


「んで、どっち? かすみは先輩のこと本気?」

「んなわけないじゃん。そもそも好きだなんて一回も言った事ないでしょーが」

「でも先輩の事、よく見てるじゃん?」


え、マジ……? その言葉には、さすがの私の心臓もどきりと大きな音を立てた。


「い、いやいやいや。そんな事ないし」

「ふーん。そーかなぁ?」


りょうちんってばクリクリお目目をこれでもかってくらい細めてる。
これは完全に疑ってる目だ。


「ってか、先輩は目につきやすいんだよ。私が先輩を見てるとしたら、それが理由に決まってるでしょ」

「まぁねー。なんだ、つまんないなぁ」


意外とあっさり引いてくれたりょうちん。単にカマかけただけだったのだろう。


「こら、私で遊ぶのはやめなさい」


りょうちんは私をいじり飽きたのか、ポケットから財布を取り出し、食券の券売機へと向かった。

私がその後ろを追いかけた時、ちょうど青井先輩は食べ終えたのか、彼女をその場に残して立ち去ろうとしている最中だった。

彼女も慌ててサンドイッチを頬張り、先輩の後を追いかけるけど、歩調なんて合わせる気はさらさらないのだろう。先輩はさっさと食堂を出ていってしまった。