キミと初恋。

嵐が去って、周りで聞いていた聴衆もあらかた納得したのか、いつもの教室の風景が私の周りでも広がり始めていた。

ただ、私を除いて。


「頭痛い」

「なによ、せっかく助けてあげたってのに」

「ありがとう。でも他に理由なかったの?」

「じゃあかすみはあった?」

「……ない」

「頑張れ、先輩のガーディアンしししっ」


まぁ、ヤクザだとか脅しだとか色々言われてるっぽいから、それに比べたらガーディアンの方がいいか。

なんて、物事を引き算で考え始めていた頃、授業のチャイムが校舎に鳴り響いた。

怠いなー、と一瞬机に突っ伏した後、気合いを入れて顔を上げ、カバンの中に常備してある痛み止めを昨日飲みさしていたペットボトルのお茶で飲み込んだ。

一瞬ためらったけど、真夏じゃないし、1日くらいほっといてもお茶はくさってないだろう……そう祈りつつ飲み干した。

ちょうどチャイムが鳴り終え、担任が教室に入ってきた。


よし! 今日も1日頑張ろう。


さっきのチャイムがまるで今日一日の始まりを告げるゴングにも思えて、気合い十分で授業に挑むことにした。