バッサリ。なんて力強い言葉をこうもあっさり言ってのけるのか。

しかも澄んだ瞳で真っすぐ見つめてくるあたり、私の知ってるりょうちんだと思った。

りょうちんに言われなくたって、そんな事は重々承知だ。むしろ私の方がその事についてはよく知ってる。りょうちんが言う以上に分かってる。

けど人に面と向かって言われると、こうもダメージがあるものなんだ……なんて、そんな風に思った事を悟られないように、私は必死に笑顔を取り繕った。


「いやいや、さっきまで一攫千金狙えとかなんとか言ってたよね? それって話のつじつまが全然合ってないけど?」

「宝くじなんてのはね、当たればいいなって思う程度が一番良いに決まってるじゃん。今月お金がピンチで、宝くじが当たらないと生活が困るんだー! なんて状態で宝くじ買う人は当たらなかったらどーすんの、って話っしょ? むしろ宝くじなんてものに頼ってないで堅実に生きろって話じゃん」

「……なんか、話が大きくなってきてる気がする」

「でも間違ってないっしょ? それと一緒って事」


りょうちんの言いたい事は良く分かる。

青井先輩はタダ同然の宝くじ。だから当たらない可能性はとても高い。だからこそ期待してはいけない。期待しすぎると外れた時のショックはとてつもなく大きいから。


「宝くじなんてのは、当たるかも? って考えるくらいで丁度いいに決まってる。あれは夢を見る為に買うんだから」


なんか、流暢に言っちゃってくれてるけどさ……。


「りょうちんってさ、この年で宝くじ買ったことあるの?」


ってか私は買ったことなんて無いから、高校生が買えるものなのかも分かんないんだけど。


「買ったことあるわけないじゃん。うちのパパが毎年年末に買ってくるんだよねー。いっつも300円しか当たったこと無いんだけどさー。その受け売りってやつ? しししっ」


そう言ったりょうちんは、拳を口元に当てて笑った。