「だからさ、かすみもこーんな遠くから見てないで、一攫千金狙ってみたら?」


りょうちんは再び犬歯を見せながら、しししっと私に笑いかける。


一攫千金狙って、って……。


「私はいい。宝くじなんて必要ないし」

「本当にいいのかなー? だってタダなんだから試してみりゃいーじゃん? 当たればラッキー、当たらなければ他の女子と同じ。そんだけっしょ?」


そんだけって……私にとってはそれ、かなりハイリスクだし。


「私は別に先輩と付き合いたいわけでも、先輩の事好きなわけでもないんだから」

「だからいーんじゃん」


キョトンとした表情でりょうちんは私を見つめる。何言ってんのって顔で。


「もしかすみが本気で先輩を好きだって言うんなら、あたしはオススメしないよ」

「はぁー? 何でよ」


時々りょうちんの言ってる事が理解出来ない時がある。

りょうちんとは、家から離れたこの学校で出逢った。サバサバとした性格に一種の清々しさを感じて、出逢った当初からクラスの中で一番仲良くしてるけど、時々掴めない事を言う。


「かすみがもし青井先輩を本気で好きなんだったら、むしろ近づかない方がいいよ」

「だから何で。本気だからこそ応援しようってならないの?」


普通友達だったら、恋の応援してくれるものじゃない?


「するよ、本気で応援。だけど、青井先輩はだめっしょ。だってあの人、きっとかすみに振り向いたりしないと思うもん」