私はあえて見ないようにしてたケータイをポケットから取り出した。

画面をつけた瞬間、無数のメッセージと不在着信の嵐だ。

その大半はりょうちんから。


私はそのメッセージに既読を付けないようにして、ホーム画面に出てきたポップアップの内容だけさらっと読んであとはケータイの電源を落とした。

万が一また電話来た時に誤って出てしまわない為に。


りょうちん、ごめん。帰ったらちゃんと返事はするから。

そう思ってると、先輩が私の大量の食べ物をトレイパンパンに乗せて運んで来てくれた。


「なぁ、マジでお前これ全部食べれんのかよ」

「頑張ります」

「頑張るって……人の金でなに勝手にフードファイト始めてんだよ」


呆れた顔で私の隣の席に座る先輩。なぜ隣に?


「先輩、なんで隣なんですか?」

「だって俺もソファーに座りたいし」


確かに向かい側はイスだけど。

平日のまだ5時間目をやってる時間。だから店内はガラガラだった。

私はテーブルを広々使おうと思って4名席に座ったのに、まさか隣に座るとは……。


「仕方ないですね、じゃあ私が向かいに座ります」

「別にいいだろ。どうせ席も空いてるんだし、ソファーのが楽だろ」

「そうですけど、話しにくくないですか?」


しかも肩が触れそうなこの距離。無駄に気を引き締めておかなくちゃいけなくなるから疲れるし。


「なに言ってんだよ。食堂でもこうだったろ?」

「食堂では長テーブルだし、テーブルの幅が広いから……」

「なんでもいいや。とりあえず食おうぜ」


なんて言いながら先輩は、包みを既に開けたビックマックにかぶりついた。