キミと初恋。

『……今、なんて言った?よく聞こえなかった』


先輩はまだこっちを向いてくれない。


『だから、その、友達としてなら……お昼一緒に食べるだしだし……』


それくらいなら、いいよね。


『じゃあ昼、毎日一緒にメシ食ってくれるか?』

『まぁ、お昼だけなら』


それくらいならいいか。友達として、だし……。

そしたら、遠くから先輩を探す事も、外野と同じになって先輩を見つめる事もなくなるし。


『……言ったな?』


ぼそりと聞こえた言葉には、一瞬背中がひやりとした。


『へっ……?』


ゆっくりと振り向いた先輩の顔には、眩しいくらいの満面の笑み。

普通ならときめいたっておかしくない、先輩の極上スマイルなのに、今だけは悪魔の微笑みに見えるのはなぜか……。

私はなにか、選択肢を誤ってしまったのかもしれない……。


『じゃあ早速今日の昼、食堂で。よろしくな』


そう言って先輩は、私の肩をガシッと組んできた。

突然の出来事に一瞬私の心臓が飛び出してしまったかと思うほど、心音は高鳴った。


どうか、顔が赤らみませんように……!


必死になって違う事を考えた。昨日の夜に見たテレビの内容とか、漫画の内容とか。

友達だと言った手前、ここで頬を赤らめる訳にはいかない。

先輩の友達役、これもなかなか大変かもしれない……なんて早速後悔しつつ、私は平静を装った。