キミと初恋。

『だから俺としてはちゃんとしたいと思ってんだよ。けど、そうしたいと思ってもなかなか周りがそうさせてくれないからな。俺のイメージがイメージだから仕方ないけど』


あっ、そこはさすがに分かってるんだ。

全ては先輩の行動、身から出たサビなんだって事はさすがに……って、それ分かってなかったらヤバいか。


先輩の整った顔が空を見上げながら憂いでいる。

そんなアンニュイな表情に、私の胸の奥にある心臓はキュン、と可愛らしい音を立てた。

……矢先だった。



『あっ、お前もしかして、彼氏とかいたりする?』



先輩は案外私に殴られたいんじゃないだろうか……。



『それ、聞く順番おかしくないですか?』



失礼にもほどがある。普通あんな提案する前に聞くのが礼儀じゃなかろうか。

私先輩みたいにモテる容姿なんてしてないけども……。


『いたらどうする気だったんですか』

『なんだ、やっぱりいないんだな。じゃあ問題ないな』


そういう問題ではないと思うんですが。


『でも付き合いませんよ。お試しとやらもしません』

『頑だな。でもそれくらいのがちょうどいいけど』


ちょうどいい?


『……それ、どういう意味ですか?』

『もしも、途中で好きになられたらそれこそ面倒だろ』


さっきからこの人は……。


『先輩、気づいてないかもしれないですけど、これって殴られたって文句言えないレベルで失礼ですからね。ちなみに私、これでも空手やってましたからね』


この言葉にはさすがにビビったのか、掴まれたままだった私の腕は解放され、先輩は少し後ずさった。

きっと昨日の、相当痛かったんだろうな……。


『有段者が殴るのは無しだろ……』

『いえいえ、段は黒帯からですよ。私が持ってるのは茶帯なので全然へなちょこです』

『そんなの知らねーよ。経験者と未経験者の違いはでかいっつーの』


ビビってる、ビビってる。

そんな顔が引きつった様子でさえイケメン度合いを上げている。