私の、バカ……。


先輩つかまえて、ふざけんな……とは、なかなか口が悪い。

事の発端は先輩からなんだけど、それでもやっぱり先輩は二つも年上の上級生な訳で……。

少しの後ろめたさからか、私は顔を上げれないでいた。


「……ふーん。俺、なんか知らねー間にだいぶと嫌われてたんだな」


キレ返されたとしても仕方ない。って覚悟を決めかけていただけに、先輩の反応には少し驚いた。

この後先輩が放つ言葉に、私は耳を疑った。



「じゃあ、俺と付き合わない?」



はっ……?



「……は、はい?」



私がテンパり過ぎてるせいなのかもしれない。

全然先輩の言ってる意味が理解出来なくて、開いた口が塞がらなくなってしまった。

そんな理解力の乏しい私を説くように、さっきよりも優しい口調で話しを進める先輩。


「だから俺の事好きじゃないんだろ? それは俺にとって好都合って事。だから俺と付き合ってみないかって聞いてんの」

「いやいや、話のつじつまが全然合わないんですが……?」


好きじゃないから、付き合うの? なんで?

意味わかんないじゃん。


私があまりに理解できないせいで間抜けな顔でもしてるからなんだと思うけど、先輩ってば私の顔を見ながら制服の袖で口元を隠しつつ、小さく吹き出した。


「ふっ。だからこれは俺からの依頼だ、依頼。俺の彼女役、頼まれてくんない?」


状況が理解できない私に向かって、先輩はそんな風にさらに意味不明な事を言った。