ーーあれから。


「かすみ、昼持ってきた?」

「今朝学校来る前に買ってきた」

「なーんだ、作るとか昨日張り切った事言ってなかったっけ? まじで3日ももたないやる気なさ、しししっ」

「そういうりょうちんこそいつも買ってきてるでしょーが」

「あたしは作るなんて考えはさらさらないからね。宣言すらしないからいーでしょ」


私はりょうちんと教室でお昼ご飯。

季節はすっかり冬。10月の秋を越え、11月の木枯らしの季節も過ぎ去り、12月、1月のクリスマスやお正月気分もすっかり抜け出して、2月を跨いで、もう3月。

冬の時期は食堂は暖房器具が充実してないし、そもそもトイレに行くのすら寒くて死にそうになる私達は、こうして冬の間は冬眠するクマのようになるべく教室から一歩も出ないことにしてる。


「で、今日はなんのパン買ってきたの?」

「勝手にパンだと決めないでよ」


私は憤慨しながら、コンビニ袋の中身を机の上に並べた。


「いや、パンじゃん。どー見てもパンじゃん。なんで否定したのか全然理解できないんだけど」

「お惣菜パンは、パンにしてパンにあらず」

「意味わかんなー」


言いながらりょうちんは私の焼きそばパンをかってに包みを開けてかぶりついた。


「なんで勝手に食べるかな!? りょうちんあるじゃん、パンもおにぎりもあるじゃん!」

「惣菜パンはないじゃん」

「知らないよ、そんなの」


りょうちんはしししっ、と笑って、自分が買ってきたおにぎりの包みを開けた。


一年経ってもりょうちんの行動は理解できない事が多いし、読めない。ほんと信じらんないヤツだ。