私は一瞬、呼吸の仕方を忘れてしまった。


頭が真っ白になって、何も考えられなくて……だけど、颯ちゃんの視線は私の顔に突き刺さるほど鋭くて。正直逃げ出したい気分だけど、体は硬直して動かない。


「なんとか言えよ」


颯ちゃんは私の前に突き出したものを小さく振りながら、さらに食い下がる。


「この写真に写ってんの、お前だろ」


それは今朝、私の家に届けられた写真と同じものだった。そこに写るお姉ちゃんと私はとても楽しそうに笑っている。

今の私とは裏腹だった。


「なんで、それ……」


なんで颯ちゃんがその写真を持ってるんだろう。今朝の写真は部屋に置いてきたから、あれは私のじゃない。


“お前のヒミツを知っている者より”


あの手紙に書かれていた言葉を思い出し、私は慌てて口を開いた。


「それは……」

「俺はお前が風花の妹かって聞いてるんだ」


颯ちゃんの声に怒声が混じる。そんな颯ちゃんの声にビクッと反応した私の体。この時初めて私は体が震えていた事に気がついた。


「さっきこの写真と共に手紙がこの花壇に置いてあった」


カサリとポケットから取り出した手紙には、私の家に届けられたものと同じく、新聞紙の文字を乱雑に切り取ったものがそこには貼り付けられている。


“斉藤かすみは斉藤風花の妹”

“斉藤かすみにだまされないで”